インストール中に暗号化ボリュームを作成し、マウントポイントに割り当てると、そのボリュームに対して、起動中にパスフレーズを入力するように訊いてきます。
dm-crypt で暗号化したパーティションでは、起動中に以下のようなプロンプトが表示されます。
Starting early crypto disks... part
_crypt(starting)
Enter LUKS passphrase:
プロンプトの最初の行の part
は、たとえば sda2 や md0 のような、基本的なパーティション名です。おそらく、ボリュームごとに パスフレーズを入力することに、違和感を覚えるのではないでしょうか。これは /home
や /var
それぞれでパスフレーズを入力させられるのでしょうか? もちろんそうです。暗号化したボリュームが一つだけなら、話は簡単で、セットアップのときに入力したパスフレーズを入力するだけです。インストール時に、暗号化ボリュームを少なくとも一つは設定しているなら、「暗号化ボリュームの設定」 の最後のステップに書き留めたメモが役に立つでしょう。以前の
とマウントポイントの間のマッピングを記録しない場合、新しいシステムの part
_crypt/etc/crypttab
と /etc/fstab
にあります。
暗号化されたルートファイルシステムがマウントされる時は、プロンプトは少し違って見えるかもしれません。それは、システムの起動に使用される initrd を生成するために、どの initramfs ジェネレータが使われたかによります。以下の例は、initramfs-tools
で生成された initrd の場合です。
Begin: Mounting root file system... ...
Begin: Running /scripts/local-top ...
Enter LUKS passphrase:
パスフレーズの入力時には、入力した文字 (やアスタリスク) は表示されません。パスフレーズを間違えた場合、訂正するために 2 回までは試行できます。入力を 3 回間違えると、そのボリュームをスキップして、次のファイルシステムをマウントしようとします。詳細は、「トラブルシューティング」 をご覧ください。
パスフレーズをすべて入力すると、通常と同様に起動を継続します。
パスフレーズを間違えて、暗号化ボリュームをマウントできなかった場合、ブート後に手動でマウントする必要があります。以下の状況が考えられます。
まずはじめの状況は、ルートパーティションに関することです。正しくマウントできないとブートプロセスが停止し、再起動してもう一度行わなければなりません。
最も考えられる状況は /home
や /srv
のようにデータを保持する暗号化ボリュームです。単純にブート後に手作業でマウントできます。
dm-crypt の場合は少しトリッキーです。まず device mapper を実行して、ボリュームを登録する必要があります。
#
/etc/init.d/cryptdisks start
/etc/crypttab
に記述されたボリュームすべてを検査し、正しいパスフレーズを入力すると、/dev
ディレクトリ以下に、適切なデバイスを作成します。(既に登録されたボリュームはスキップするので、何度実行しても警告がでません) 登録に成功すると、以下のように通常の方法でマウントできます。
#
mount
/mount_point
クリティカルでないシステムファイルを扱うボリューム (/usr
や /var
) がマウントできなかった場合、それでもシステムが起動し、前述の状況のように手動でボリュームをマウントできるでしょう。しかし、デフォルトのランレベルで通常動作しているサービスを、起動していない可能性があるので、(再) 起動する必要があります。最も簡単なのはコンピュータの単純な再起動です。